フェアウェルの日・フェアウェルの立役者たち
フェアウェルって?
フェアウェルとは「元気でね!」「またね!」などのお見送りの言葉。
JAL・JTAグループでは日々のフェアウェルに加え、毎月25日には普段参加できない仲間やさまざまな空港で働く仲間たちが駐機場に集まって横断幕を持ち、お客さまのお見送りを行っています。
この月イチフェアウェル。現在は日本全国のみならず遠く海を越えて、海外の空港にまで広まっていますが、もともとは各地区で独自に開催しているものでした。それを「全国の空港の心を一つにして、みんなで一緒にフェアウェルをしたい!」と行動を起こしたのが沖縄地区!そのため、JTAにとっては特別な想いがあるイベントのひとつなんです。
今回はフェアウェル始めるきっかけや、その想いをお伝えしたいと思います。
フェアウェルの仕掛け人
今回インタビューしたのは、毎月25日の月イチフェアウェルを作り上げた立役者たち。
フェアウェルの発起人・整備の秋山、沖縄県内8空港と国内海外空港の中継役・矢嵜、フットワークが軽いランプの番人・ランプ業務の福永、ターミナル内を駆け回る・旅客業務の岩根、フェアウェルに新しい風を起こす・整備の新垣の5人です。
(左から、新垣、福永、秋山、矢嵜、岩根)
月イチ フェアフェルのはじまり
フェアウェルが今の形になったのは2018年4月。それ以前は、各空港でそれぞれ思い思いのタイミングや方法でお客さまに手を降っていたんですよね。
秋山 そうです。「僕たち整備もお客さまにありがとうって言いたい!喜んでいただきたい!」って想いでターンテーブルにジンベエジェットデザインのけん引車の模型を流してみたり、沖縄の海が綺麗に見えるように窓をマメに拭いたりする一環で、整備で集まって手を振ったりしていました。
新垣 そうでしたね。ですが整備は整備で、旅客は旅客で、と空港全体での一体感というものはあまりありませんでしたね。
秋山 そうそう。クリスマスとかバレンタインとかイベント行事があるときには30人くらい集まってフェアウェルしてたんですけど横のつながりが薄くて各部署みんなでやろうっていう感じはなかったよね。その後、僕が整備部門のCS(Customer Satisfaction)担当になったんで「月に一度くらいは、みんなで集まってフェアウェルするの良くない?」って整備部門内で提案したんです。ちゃんと企画書を作って周知して。空港を管理する航空局にも毎月やりたいんです!と趣旨説明をしに伺ったら「そういう取り組みステキです!」って背中を押してくれました。
―これが月イチ フェアウェルの始まりだったんですね。
秋山 ですね。月イチフェアウェルが始まってからは、「整備で月イチフェアウェルやるんだけど、みんな来ない?」って他部署のスタッフにも声をかけて巻き込んでたんです。そしたら、それを聞きつけた矢嵜さんが「おぉ!そういうことやりたかったんだよー!」って乗っかってきて…。
矢嵜 ちょっと!乗っかってきてって言い方悪くない?(笑)。
本当に、良いことやってるなって思ったんですよ。でも那覇空港だけでやるのはもったいないから県内8空港で一緒にやったらもっと面白んじゃないかって提案したんです。
県内8空港での月イチフェアウェルがスタート
ーそのちょっと前に、矢嵜さんは多良間空港からある相談を受けたそうですね
矢嵜 そう。多良間空港で横断幕を新調したいって相談があったんです。どうせ1つ作るなら、他の離島空港も一緒にどうかなと声かけてみたら「作りたい」ってことだったので、まとめて作ることしにして。空港でも“沖縄らしさ”を感じてもらいたい、と思って各離島の「島くとぅば」(島の方言)を使って「ありがとう、また来てね」のオリジナルの横断幕にしました。
そこに秋山さんの月イチフェアウェルの話を聞いたから、そりゃ乗っかりますよね!(笑)
秋山 いやぁ、あのときは乗っ取られるかと思ったもんね。
矢嵜 また、そんな言い方!(笑)
秋山 でもこの後、矢嵜さんが沖縄地区をまとめて、「25日だよ!県内8空港 うちなー月イチフェアウェル」に発展させてくれて・・・次は「全国でみんな一斉にやろうよ」と「月イチフェアウェル」を広めてくれたので今があります。沖縄8空港での各島での「島くとぅば横断幕」から派生していった、各地のご当地横断幕もそれぞれ地域色や温かみがあって少しフランクな感じを出していけるようになったのも僕にとっては大きいことでしたね。
(ご当地横断幕。語尾を伸ばしたり「!」を付けたりと遊び心が…)
フェアウェルが始まってからは、周知作業や対象便の決定など今まで整備だけでやってきたものを、ランプや旅客など各部署が毎月持ち回りで行うこと、より気持ちが伝わるよう作法やルールを作るなど本格化していきました。
この一体感は沖縄地区でしか見られない
―今では日本各地の空港や海外でも行われている月イチフェアウェルですが、他の地区には負けない。など、意識しているとこはありますか。
矢嵜 意識して切磋琢磨してもらえるように積極的に各空港から送ってくれるフェアウェルの写真を共有しています。フェアウェルはみんなで揃ってやることに意味があると思っているので、気持ちが途切れないよういい意味で競争してほしいなと思って。沖縄県内8空港それぞれに個性があって見ごたえがありますよ~。いろんなアイテムを使ったりして試行錯誤しています。中でも、石垣空港は毎日初便でフェアウェルを行っているんですけど、かなり揃っていてとても綺麗なんです! 実際に見てみて欲しい。
(石垣空港でのフェアウェルの様子)
秋山 そうそう、他の空港が新しいことをやっているのをみると「負けてられないな。こっちはこの技を使って…」って考えるのが楽しかったりするから(笑)
矢嵜 那覇のアピールポイントは、地上業務のスタッフと飛行機内のスタッフの連携がとれていることだよね。ここにいる秋山さん、新垣さんの整備士さんたちが客室乗務員の皆さんに伝えてくれるから機内から外を見やすいように窓のシェードが開いてることが多いんですよ。他の空港だと、今日やってるってことが機内まで共有しきれないこともあるからね。沖縄地区の仲の良さは他にはない良さだと思うよ。
新垣 そうですね。でもそれは僕たちの功績ですよね~!笑。事前に客室乗務員にも伝えていますが、便間(※)で窓を拭きに行った時にも「今日フェアウェルですからねー」と話してます。するとCAさんたちは「了解!まかせて!」と、窓のシェードを開けて外が見えるようにしてくれたり、お客さまへの機内アナウンスをしてくれますからね。
岩根 そんなやり取りが気軽にできるのがJTAらしいのかも。
(※)窓を拭くのは通常は夜間待機中のみ。JTAでは沖縄のきれいな海・景色をきれいな窓で見てもらうため、フライトの間の機内清掃のタイミングでも窓拭きをするようにしています。
―海外の空港でも月イチフェアウェルが実施されているんですよね?
矢嵜 海外だと、今はハワイのコナ空港が毎月フェアウェルの写真を送ってくれていてとっても嬉しいですね。
秋山 海外の大きい空港だと、人が立ち入っちゃ行けない場所とか日本より厳しいみたいで。実施自体が難しいところが多いらしいです。
福永 そういえば、コナ空港に今日初めての横断幕が届くみたいです!
一同 めちゃくちゃいいタイミング!!
福永 後で写真が届くはずなので、見るのが楽しみです。
(後日届いたコナ空港の写真)
―横断幕といえば、那覇空港の横断幕にはちょっとした秘密があると小耳に挟んだんですが…
秋山 これはほとんどの人が知らない、すごい情報ですよ…。那覇空港の横断幕は一般的な横断幕より長いんです!なんと長さが7.825m!なにかわかります?
矢嵜 答えは7.825…「ナハニッコー」ただの語呂合わせです。僕の密かなこだわりでその長さにしちゃいました。
新垣 あと、整備オリジナルの横断幕も見てほしいです。ずっと前から整備で使っていた手作りの横断幕をできるだけ忠実に再現したカラフルな横断幕なので、見つけてほしいです。
矢嵜 あれを注文するのが一番大変だった。色も柄も多くてなかなか調整が大変で社員のみんなも妥協してくれないしねぇ(笑)
フェアウェルの楽しみ方
―フェアウェルの楽しみ方、見てほしいポイントはありますか
秋山 お客さまが思うよりきっと、私たちはお客さまのことが良く見えてます。なので、飛行機全体にではなく、窓の向こうに見えるお客さま一人ひとりを見ながら手を振っています。「あなたに振ってますよ!そう!そこのあなた!ありがとう!」と思いながら。
だから振り返してくれる方には、こちらも前のめりになって更に大きめに手を振り返してるので、そこも気づいてくれたら嬉しい。僕たち整備は、言ってみれば毎便フェアウェルをしてますからね。お客さまとコミュニケーションをとれる大切な時間を毎日楽しんでますよ。
新垣 直接お客さまと接する機会が少ない僕たちは、お客さまからリアクションを貰えるとすごく嬉しいし、もっと喜んでもらいたいなって頑張っちゃいますね。独自で初めた最初のフェアウェルもその想いがスタートでしたし。
岩根 25日ではないんですけど、七夕やハロウィンといった季節ごとのイベントに合わせたフェアウェルはより楽しんでもらえるんじゃないかな。いつものように日中ではなく、日が落ちた頃にペンライトを持って手をふることもあるんです。キレイで見ごたえもあると思います。
福永 今なら、首里城ジェットと同じプリントをしたトーイングトラクターも一緒に並んでいることもあるので、見てほしいです。
新垣 そうだ!これは今後なんですけど、フェアウェルだけじゃなくてウェルカムもやりたいなと思って今計画しているところです。期待していてください!
フェアウェルは感謝の気持ちを込めて
お客さま1人1人に日々ご利用いただいている感謝の気持ちを伝えることが出来、スタッフも気持ちが良さそう。
そうやって丁寧に全員を機内にご案内したら、急いで駐機場へ降り一列に並んでフェアウェルの準備です。新しく用意された首里城の復興を応援する横断幕とトーイングトラクター、7.825mのこだわりの横断幕と盛りだくさん。
日々の感謝をお客さまへ伝えるため、想いを込めて手を振り見送ります。
今日のこのフェアウェルが、沖縄の楽しい思い出のひとつになれたらと想いを込めて。
「また沖縄でお会いしましょう!」