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第10回 まさひろ酒造(糸満市)

当記事は2018年2月28日にサイトクローズした「美ら島物語」で公開していた記事です。

 

 

 

比嘉酒造からまさひろ酒造へ


 

糸満市にある「まさひろ酒造」は今年創業132年を迎えた老舗の酒造所です。
今年3月5日社名を比嘉酒造からまさひろ酒造へ改名しました。

明治16年、琉球王朝で料理長を務めていた比嘉昌続(しょうぞく)の息子・昌文が時の王から屋号と泡盛製造の許可(当時は王府の管理下にあった)をもらい、首里で創業しました。

 

 

 

大正元年、昌文の息子・昌源が2代目の頃に日中戦争が起こり太平洋戦争へと続き首里は壊滅状態となったため酒造りどころではありませんでした。

 

戦後ようやく世の中も落ち着き始めた頃、昌源の息子・昌廣(まさひろ)が工場を与那原に移転して、本格的な酒造りが始まりました。
商品名はまさひろ。
会社名は比嘉酒造ですが、社長の名前を商品名にしたことで、「まさひろの酒」と親しまれていきました。

 

1979年には昌晋(まさくに)氏が4代目に就任します。

 

 

 

 

昌晋氏は積極的に営業戦略を展開していき泡盛メーカーとして始めて泡盛をふるさと小包みで全国へ発送するという事業をはじめました。

 

更にそれまでどこの酒造所もやったことのない国際品評博覧会へ初出展して見事金賞に輝きました。

 

まさひろ、比嘉酒造の名は知れ渡り業界で不動の位置を確立していきます。

 

平成3年には、創業100周年を機に、現在の糸満市に3000坪という広大な敷地に移転します。
広々としたエントラスには泡盛が並び、工場の隣には「ギャラリー」も併設しています。
ギャラリーには自社のみならず、宮古・八重山を含むほとんどすべての酒造所の酒が、展示されています。
すでに廃業してしまったメーカーの酒もあり驚きです。
沖縄の泡盛の歴史を知ることができる資料としても、価値の高い貴重なギャラリーです。

 

 

 

5代目の社長に就任した新城満さん。一族以外からの社長就任ははじめてです。
社名も変更になり現在スタッフ45人。女性が11名。平均年齢30代といいますから若いスタッフが多い感じです。
糸満ハーレーには毎年まさひろチームとして参加するし、与那原の綱引きにも参加します。
4月には誕生祭も開かれ多くの人で賑わいます。地域の行事にも積極的に参加して地域貢献も活発です。

 

 

 

若いパワーは、会社を支える大きな力です。
取材に応対していただいた新垣さんは、入社20年のベテランで糸満市出身。
酒造りに興味があり、まさひろ酒造に入社しました。
瓶詰め3年から始まった酒造りは、いつまでたっても満足というのはなくて、奥深くてやりがいのある仕事だといいます。

 

 

 

 

宮里さんは、東京で就職したあと沖縄に戻り、「沖縄の地場産業に貢献できる仕事がやりたい」と、まさひろに入社しました。 営業分野を担当しています。

 

会社は現在プライベート商品を含め、100種以上の商品を出しているそうですから仕事量も大変です。
しかも年間7万人の観光客が訪れるので売店も大いに賑わう。
取材のときも、台湾からの観光客が大型観光バスで来店しました。
千円以上の買い物をするとくじ引きができて、1等が何と2升壷、空クジなしなのでなかなか楽しめます。

 

 

泡盛のメーカーのなかで、ひらがなの会社名はまさひろだけです。
それだけ「まさひろ」というブランドが定着している証拠だと思います。

 

 

 

2015年3月5日に社名変更して、サンゴの日ということで、お酒の売り上げから1本あたり3.5円を、サンゴの保全活動に寄付しています。
沖縄という場所で、世界に誇れる泡盛の製造メーカーとして、もっともっと多くの人たちに、泡盛の素晴らしさを伝えていけるように、本気で取り組んでいる会社です。
東京には社員2名が常駐していて、県外への営業も積極的に展開。
近年、県外出荷の低下も、さほどの変化はないのだといいます。
社名変更を機に、更にいろいろな取り組みを見せてくれそうです。

 

 

100年古酒の会


 

1997年、旧正月。3001名の賛同者のもと「100年古酒の会」が発足 しました。
栄町にある「うりずん」の土屋さんたちが100年古酒を創ろうと呼びかけて結成され、酒造所内に置かれた三石甕5本に46の酒造所の酒が入れられました。 毎年旧正月は賑やかに、100年古酒の会が開かれています。
現在会員になっている人たちは、100年古酒を飲むことはもちろんできませんが、次の世代に脈々と引き継 がれて熟成していく、泡盛にかけるロマンです。

 

 

 

あの戦争がなければ、沖縄に100年古酒は確かに存在していたはずです。
100年古酒ってどんなだろう・・・ そんな思いでまさひろをあとにしました。

 

 

(2015.7.29 掲載)

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