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仲間酒造所 ~石垣島~

*仲間酒造所は石垣市・宮良にあります。空港から約10分。古い佇まいの雰囲気が残る古くからの集落です。サトウキビ畑の広がる集落を通ってうっかりすると見逃してしまいそうな所にありました。目印の黒い大理石の表札がなければごくごく普通の民家です。

 

 

創業は1948年。今年70周年を迎えます。宮良で農業を営んでいた仲間義一さんが創業しました。現在の社長、仲間義人さんは2代目になります。宮良で生まれずっと宮良で育ってきました。父の後を継ぐのは自然な成り行きだったといいます。創業以来、家族だけで泡盛造りをやってきました。父の後を継いで奥さんと二人三脚での酒造りをしてきましたが昨年から妹のお連れ合いの前花さんが酒造りを手伝ってくれるようになりました。訪ねた日は酒の仕込み作業もお休みだったのでお二人にゆっくりお話を伺うことができました。

 

 

宮良集落は人口1300人ほどの集落で伝統祭祀の「アンガマ」や豊年祭が盛んな所です。豊年祭は3日間かけて行われるそうですから住民の結束もかなり強いんだそうです。地域のお祭りや行事に酒は欠かすことはできません。宮良でたった一つの酒造所なのでまずは集落での需要が優先されます。酒が足りない!となるとそれはもう大変なことになりますから!と笑います。

前花さんの案内で工場を見学させてもらいました。ビックリしたのは今も70年前からの道具を使っていることです。洗米も蒸しも蒸留も昔のままです。大変ですねえ、というと「最近扇風機を入れました」と言われるのにはほんとに驚きました。義人さんは「別に何も不自由じゃないよー」と言います。すごいなあ、と思いました。最新の設備を入れるわけでもなく機械にも頼らずほんとに「人の手」だけですべての作業を行っているのです。なのでおのずと製造量も限られてきます。製造量の9割が島内で1割が島外。酒造所から那覇へも出荷していないとのことです。まずは宮良での必要分を確保するんだそうです。ほんとに宮良の住民とともに歩んできた酒屋です。

 

 

 

仲間酒造で造っているのは創業以来「宮之鶴」だけです。他にアイテムはありません。ほとんど新酒で発売していますから宮之鶴の古酒に出会い事は奇跡です。最近、製造量の少ない酒造所の酒が「幻」扱いされますが決してそんなことはありません。確かに那覇や東京などで店頭に並ぶのはほとんどないと思いますが石垣島では普通に当たり前の価格で買えますからご安心ください。

 

ところで、「宮之鶴」という名前が少し日本酒っぽいなあ、と思って名前の由来を聞いてみました。宮良の宮とおめでたいことの象徴の鶴で「宮之鶴」でした!(笑)

 

 

ラベルには鶴が3羽描かれています。誰かのデザインですか?と聞いたところ「わからない」とのこと。ずっと同じラベルで親父からも聞いたことはなかったよ!とほとんど気にしてない様子がまた何ともホンワカしています。今の所工場を大きくする予定もないので今のまま酒造りをしていきますとのこと。しばらく工場にいましたが「昔はみんなこんな風な工場で泡盛を造ってきたんだなあ・・」と感慨深い気持ちになりました。

 

酒屋というよりなかなか行かない親せきの家に来たような気分になりました。こんな酒屋が残っていてもいいなあ・・・心が温かく満たされたような気持になった取材でした。お二人とも長い時間、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。

 

 

*酒造所の見学は受け付けておりませんのでお訪ねしたい方は必ず事前に連絡してからおでかけください。

 

▼過去の記事はこちらから:「泡盛天使の酒造所めぐり」

 

ライターしもじけいこ

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