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第35回 池原酒造(石垣島 石垣市)

当記事は2018年2月28日にサイトクローズした「美ら島物語」で公開していた記事です。

 

 

 

 

街の中の酒造所


 

 

 

 

創業68周年を迎える池原酒造所は、石垣市の公設市場近くにあり、近隣には真新しい住宅が立ち並ぶ住宅街。

昔は原っぱで周辺に白いテッポウユリが自生してたそうで、銘柄の「白百合」の由来になってると聞きました。

池原酒造所は知らなくても、或いは白百合を飲んだことがない人でも、泡盛に興味のある人一度は耳にしたことがあるくらい「個性的な味で有名」な銘柄なのです。

今でも直火式にこだわりすべて手作りで酒造りを続ける池原酒造所の3代目、池原優さんにお話を伺いました。

 

 

 

代目になる決心


 

 

 

 

酒造所の創業は優さんの祖父。しかし創業わずか3年でこの世を去ってしまいます。

後を継いだのは妻の信子さんでした。苦しい中でも酒造りを続けてきました。

優さんは3代目にあたります。優さんの父、幸市さんも母、信子さんとともに酒造りをやってきましたが、3代目にはならず息子の優さんが3代目に就任しています。

30歳の若い社長です!東京で大学を卒業したあと、大手の量販店に就職しましたが、ほどなく沖縄への出店が決まり「店長」候補になった時に決心し退社。

故郷の石垣島に帰ってきました。心のどこかにいつかは酒屋の後を継がなくては・・という思いもありました。

背中を押したのは3・11の大震災だったそうです。

もし、東京にいて何かあった時、祖父母や父や母は・・そして酒屋は・・という思いが膨らみ、それが石垣島に帰って、酒屋を継ぐ決心をさせたと言います。

 

 

 

会社を担う責任


 

 

 

 

信子さんも幸市さんも、必ずしも「酒屋を継がなくても好きな道を行けばいい」という考え方だったそうで、優さんは、一度も「後継者に」、と言われたことはないそうです。

しかし大学で経営を学んだ優さんは、「ここまで育てて貰ったんだからしっかり経営者になる」道を選びました。

優さんが継がなければ、廃業する覚悟だったそうです。

優さんが後継者になると決めた時、信子さんはほんとに嬉しかった!と話してくれました。

80才を超えた今でも一緒に酒造りをしています。

優さんは信子さんと父について学びながら、やっと酒造りも出来るようになりました。

2年前には法人化して株式会社になりました。それまで家族だけで営んできた酒造所に、社員も一人入社しました。

優さんの努力もあり近年「白百合」の人気が上昇。

なのに残念なことに、現在の工場の規模では、これ以上の生産が出来ず、悩みの種で嬉しい悲鳴です。

 

 

ファンへの感謝を込めて


 

 

 

 

5年前から「白百合ナイト」というイベントを開催していて、「新良幸人」さんなど、石垣島の有名ミュージシャンのみなさんが舞台に立ってくれるので大盛り上がりだそうです。

父・幸市さんの友人繋がりとか。

何と、幸市さんは、石垣島では知る人ぞしる有名なフォークシンガーとか!

東京や京都、仙台などでも白百合ファンのみなさんと、イベントを開催しているそうですが、担当は幸市さん!

今や全国にファンを持つ白百合に成長しています。

癖が強いためマイルド泡盛に慣れた人には少し・・となりますが、コアな泡盛通には「これぞ泡盛の味」と称賛されています。

バニラ香が強めなので、古酒に熟成していく成分は多いそうです。

現在は以前ほど「癖」がなくなったとファンから苦情?とか。

 

 

小さい所は小さいなりに・・


 

 

 

 

酒造りのほとんどすべての工程が手作業です。もちろんラベル張りも手作業です。

一日に貼れるの頑張っても300本とか。手狭な工場は生産量が限られているのと作業時間を勘案してもなかなか厳しく、現在の場所での増築も難しく悩みの種だそうです。

 

これから


 

 

 

 

泡盛業界が厳しい冬の時代を迎えていますが、優さんに10年後の夢を聞いてみました。

「まず、会社として安定してること」。この言葉には、実に様々な思いが込められています。

若い3代目は前を向いて意欲的です。これからいろんなことに挑戦して、試行錯誤をしながらしっかりと石垣島の名酒を生む蔵に成長していくと思います。

生産量が少なく、店頭でも品薄ですが、どこかで白百合を見かけたらぜひ手にとって飲んでみてください。

「赤馬」という銘柄もあります!

 

優さん、長い時間お付き合いくださりありがとうございました!

 

 

株式会社 池原酒造


 

〒907-0022 沖縄県石垣市大川175番地

TEL:0980-82-2230

URL http://shirayuri-ikehara.com/

 

 

(2018.1.30掲載)

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