ささやんが行く!機体洗浄の巻
沖縄の青空に美しく輝くJTAの飛行機、今日も最高にカッコいい!
沖縄の空をフライトしていると、翼の上を気流がスムースに流れている感じが操縦桿を通して伝わってくるんだ。
そんな時は、自分と飛行機が一体となった感じがして、最高の気分!
あっ、こんにちは。
沖縄の空を輝く飛行機でフライトするのが大好きなJTA運航乗務員、「ささやん」です。
でも、飛行機って朝から夜まで各地を飛び回っているのに、どうしていつもピカピカなの?汚れたりしないのかな?
そんな事を考えながら、今日もピカピカの飛行機を外部点検していると…
玉城勝さん JALスカイエアポート沖縄(以下JLSAO)
ささやん、今日はフライトなんだね。天気もいいし最高だね。
ささやん 勝さん、荷物の搭降載お疲れ様です。フライトには最高の天気ですね。
今日も飛行機が輝いてて綺麗だな~って感動していました。
勝さん 僕らが心を込めて、飛行機洗っているからね。
ささやん えっ、飛行機って洗っているんですか?(雲に入ったら綺麗になる…とかじゃないんだ…)
勝さん 大きな飛行機も丁寧に洗っているよ。
また南の島々を飛んでいると、海からの塩分がついてしまうので、サビ防止の為にも洗浄が重要なんだ。
ちょうど今夜も飛行機洗うから、ささやん参加してみる?
ささやん チャンス~!飛行機の背中を流してあげたいです!だって、僕の大事な飛行機だもの!是非お願いします。m(_ _)m ワクワク
いざ!機体洗浄へ!!
約束の時間・約束の場へ
深夜、一日の運航が終わり静かになった空港の中を歩きます。(こんな時間に本当に飛行機洗うの?)
ちょっぴり不安な気持ちで、ターミナルの一番奥にある約束の場所に向かうと、活気ある声が聞こえてきました。
事務所の入り口には「元気よく挨拶しよう!」の文字 |
ささやん こんばんは!運航乗員部のささやんです!飛行機洗わせてください!
元気に挨拶。第一印象は大事だからね!
勝さん(JLSAO 機体洗浄リーダー)
ささやん、本当に来たんだね。飛行機洗いたいというパイロット、珍しいよ。
と言いながら、忙しそうに事務所に入ってきた勝さん。
勝さん 結構濡れると思うので、これに着替えてください。
着替えるよ~!
作業用のユニフォームを渡されたのでウキウキで着替えます。
じゃんっ!どお?グレーのキャップもカッコいい!
どお?結構いい感じじゃないですか?作業服着れただけでも満足…。
勝さん ささやん、入り口ではしゃいでないで、中で待っててください。
ささやん あっ、はい…。
大人しく中で待ちます…。
事務所の中で待つも、やることがなく立ち尽くす僕。時間は23時すぎ
みんな忙しそう
勝さん おまたせしました。準備できたんで行きましょうか。
ささやん はい!待ってました!
丁寧に素早く、さらに丁寧に!
ターミナルから離れた駐機場に、ポツンと待っている飛行機が見えてきました
玉城一富さん(JLSAO 機体洗浄 サブリーダー)
今日はこの飛行機を洗浄しましょう。私と勝さんでサポートしますね。
ささやん ありがとうございます!では早速、洗いましょう!
一富さん 洗浄はまだです。最初に、汚れている場所を調べます。
汚れの場所・種類を調べる事で、重点的に洗う場所が分かって効率的に作業できるのです。
また、機体に傷がついていないかも確認します。これはとっても大事な作業なので、しっかり確認しますよ。
もし傷があった場合、安全運航に直結するので、整備に報告して修理してもらいます。トラブルを事前に防ぐ事も私達の仕事なんです。
ささやん おお!ただ飛行機をキレイにするだけの仕事じゃないんですね!!かっこいいプロ意識!
ボディの下の汚れ
飛行機のおしり
ささやん 遠くで見るとキレイだと思ったんですが、案外汚れてるんですね…。
一富さん そうですね。エンジン後部はスス汚れが強いですし、ボディの下部も汚れが付きやすいです。
ささやん へぇ、知らなかった!汚れもチェックしたし、次はいよいよ洗浄作業?(ワクワク)
一富さん まだです!飛行機は精密機器の集まりなので、水が入ってはいけない箇所をふさいでいきます。
ささやん マスキング‼ですね!飛行機って体は大きいけど、とっても繊細な子なんですよね!!
水が入らないよう、しっかりマスキング
飛行機には、アンテナ等が沢山ついており、傷つけたり、水が入り込まないよう注意が必要です。
機体洗浄の前に、その繊細な部分を丁寧にマスキングします。計器の大きさや形状に合ったカバーやプラスチック製の板を準備し、専用のガムテープで止めていきます。
ささやん ガムテープが赤なのは目立つからですか?
一富さん そうです。マスキングの取り忘れがないように目立つ色を使っています。このガムテープもこだわりがあって…
剥がした時に粘着が残らないものを皆で探して、試して選びました。
ささやん ほぉ、試行錯誤して研究する。この手間に飛行機愛を感じる…!
マスキングが終わると、いよいよ機体洗浄!
共に空を駆ける仲間の背中を流すことが出来るっ!!ワクワクする~。
水かけスタート!!
ドヤ顔の僕の後ろでサポートしてくれてる一富さん。ありがとうございました。
僕が水をかけている間、ずっと後ろでホースを持ちながら「もっとホースを上に向けて、機体に水を降らせるように…」「もっと左右にふってください」とアドバイスくれたのですが、どれもこれも難しい!!!簡単にやってるように見えるけど、水圧に耐えながら歩くだけで必死なんです!
レクチャー中!!
ほんと何これ…。想像以上にきついんですけど…
ささやん 一富さん…もっといい方法無いですか…?(早くも疲れてきた)
一富さん 風を利用したり水圧を調整する事で、自分がなるべく動かないように作業するといいですよ。こうやって!
ささやん はぁ…。(水圧に耐えるのに必死で、そんな余裕無いわ)
一富さん 今日は風もないし、気温もちょうど良くて楽な方です。
一番大変なのは、風が強い日です。空港って何も遮るものがなく、風が全力で吹き付けてくるからすごく大変です。
それに強風に乗って海からの塩分が飛行機につくので、塩害対策も兼ねてしっかり水洗いします。
ささやん 本当にご苦労さまです!!!
一富さん、さすがのホースさばき。真似できない…
飛行機でなく自分に水がかかり、びしょ濡れでたたずむ僕
熟練者は、ほとんど濡れずに水をまくことが出来るらしいですが、僕は見事に惨敗。かっぱを着ていない部分は全てビショビショ…
さらなる試練!モップの局面
水掛けでゴッソリ体力を奪われた僕に、一富さんが元気に近づいてきた…
一富さん ささやん!次はモップです!飛行機の汚れ落としてあげられますよ!
ささやん そうですね、一番やりたかった事です⤵(だけど、もう既にしんどい…)
しかし、気持ちを切り替え
ささやん はいっ!ついにあの長いモップを使うんですね!楽しみだー‼
とはしゃぐ僕。けなげ。
飛行機の可愛いポイント
曲線を洗おうと頑張る僕
疲れた体を鼓舞して機体を拭くも…。
え?ちょっ、すっごいやり辛いんですけど!!!
モップがうまく機体に当てられないっ‼
モップの面は平面で、機体は曲線。面同士がちゃんと触れ合わなくてなかなか綺麗にならないし、水を含んだモップは重い…。
一富さん ささやん、こっち来てください!翼の下は、こんなにススで汚れているのです。
ささやん えっ!?これ全部汚れだったんですか!!全体が同じ色だったんで汚れだと気づかなかった…。
飛行機、本当に頑張って飛んでるんだな~
一富さん 翼の下は結構汚れているので、やりがいあるんですよ。
綺麗になっていくのがわかりやすく、気持ちいいでしょ!
翌日の筋肉痛を覚悟しつつ奮闘中の僕の周りでは他のメンバーが前方、後方、翼部分など二人一組でテキパキ洗っていきます。
しかも洗浄の溶剤は乾きやすいので、モップがけと溶剤を流す作業は同時進行!
なんだ!この手際の良さとチームワークの良さ…!!
「ONE TEAM 」を体現してる…!
疲れたけど、なんだか嬉しくなってきたぞ!!
あぁ、勝さんも一富さんも、いい顔してるな。活き活きと仕事している。この仕事本当に好きなんだなぁ~
ささやん 一富さん、勝さん、この仕事のやりがいって何ですか?
勝さん、一富さん 機体洗浄は飛行機を綺麗にするだけじゃなく、安全を守る工程の一つだと思っています。
整備担当が点検しやすいように、私達がしっかり汚れを落とします。また汚れを落とす時、それが機材の不調からの汚れなのか、通常の汚れなのかを確認する。
それをできるのが機体洗浄だと思っています。だから気が抜けないし、綺麗になった時はとても気持ちいいし、やりがいを感じます。
ささやん 勝さん・一富さん…本当に飛行機のことを大事に思っていて、この仕事に誇りを持ってるんですね。最高です。
勝さん、一富さん 私たちだけじゃなく、みんなそうですよ。それぞれプライド持って仕事しています
かなり細かい項目があるようです
機体洗浄の最後は、リーダー勝さん・サブリーダーの一富さん二人での細かいチェック作業。
汚れは落ちているか、掃除道具の撤去忘れはないか等を二人でWチェックしていきます。
これは、コックピット内で機長と副操縦士がWチェックするのと同じ。ミスが許されないからWチェックが大切なんだよね。
普段見えない仕事が僕たちを守ってる
ささやん 今日はありがとうございました!皆さんの手際の良さと体力に圧倒された2時間でした!
勝さん お疲れさまでした。普段は1時間くらいで全行程やりますよ。今日は色々お話しながらだったんで、こんなもんじゃないですか。
ささやん 1時間‼そんなに短時間で洗えるのですか?
勝さん このメンバーは熟練しているので、JTAのB737-800 であれば1時間くらいです。
しかしJTAに737-800が就航した当初は、機体が大きくなり仕様も違うので、最初は8人体制で探り探で洗ってました。
今はスムースに作業ができるようになり、6人1時間で作業できます。
ささやん まさに職人技ですね。僕が一朝一夕で出来る作業じゃなかったです!
一富さん JALグループ便の機体洗浄は、私たちJALスカイエアポート沖縄・ランプ搭載グループが行っています。
昼間は飛行機の誘導や、お客さまの手荷物・貨物の搭降載業務が担当です。
飛行機を間近で見ながら、今日の調子はどうかな?変な汚れはないかな?と気にかけながら作業を行い、夜は「今日も一日お疲れさま」
と想いながら機体を洗う時間が、飛行機の安全運航につながっている事を実感でき、この仕事のやりがいになっています。
話を聞けば聞くほど、仕事、飛行機ヘの愛が溢れてくる!今日は本当にいい体験できたなぁ。
JALスカイエアポート沖縄・ランプ搭載グループの玉城勝さん、玉城一富さん、メンバーの皆さん、ありがとうございました!
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青い海・青い空にキラリと光るJTAの飛行機。
その秘密は、深夜にひっそりと行われている機体洗浄にあったんだね。
空を安全に・快適にフライトできるのも、見えない所で支えてくれる仲間がいるからなんだ。
もっと飛行機に関わる色んな仕事見てみたくなってきたよ。
そして仲間達の飛行機愛を確かめたいっ!
次はどこへ行こうかな~
つづく。