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“びんがた”の魅力を沢山の人に届けたい~城間びんがた工房~

 

日本トランスオーシャン航空(JTA)は、お客さまにより沖縄らしい空の旅を楽しんでいただけるよう、1年を通じて琉球紅型の作品を鑑賞いただけるクラスJ座席ヘッドレストカバーを新たに展開しました。

 

こちらは紅型三宗家を始めとする紅型職人の協力のもと実現したもので、2020年1月1日よりJTA全路線でお楽しみいただいています。

 

現在お楽しみいただける、記念すべき第1弾のヘッドレストカバーを制作したのは「城間びんがた工房」。

 

城間びんがた工房は紅型三宗家の一つであり、300年以上の歴史があります。

今回は、JTA客室乗務員・石井が城間びんがた工房を訪問し、16代・城間栄市さんに紅型の歴史や魅力についてお話を伺いました。

 

 

紅型の歴史について


 

16代・城間栄市さんと客室乗務員・石井

 

城間 紅型の歴史は古く、起源は14~15世紀頃と言われています。当時の紅型は王族のためだけに作られていたため、一般の人々は見ることすらできない憧れのものだったそうです。

 

琉球王府の手厚い保護のもと、コストや手間ひまを惜しまず、王族工芸としてひたすら良いものを作ることで発展していったのですが、何度か衰退の危機が訪れます。その最大の危機が第二次世界大戦でした。

 

紅型をもう一度


 

 

石井 戦後何もなかった時代にどうやって紅型はつくられていたんですか?

 

城間 当時は、鉄砲の弾を糊袋の筒先にしたり、割れたレコードを糊ヘラにしたりと様々な工夫で染色の道具を作っていたみたいです。

 

とにかく『紅型をもう一度復活させよう』『絶対に消してはいけない』との想いで、避難生活をしながら終戦して約2年後から復興にとりかかったと聞きました。

 

 

石井 すごい…。紅型を想う人の熱い働きがあって、今の紅型があるんですね。

 

作り方は時代で変わっているのでしょうか?

 

城間 いいえ、少なくとも100年は変わっていません。

 

日本本土の染め物は大量生産できるよう工業化さているものもありますが、沖縄は離島で機械が届かなかったこと、元々王様のために1点ものを作っていたという背景もあり、ずっと変わらずに手仕事で作っています。

 

『手仕事』に関しては紅型に限ったことではなく、沖縄の工芸全体に言えることで沖縄の工芸の特徴です。

 

石井 なるほど。確かにやちむんなども機械を使わず、今も手作業で作られていますもんね。

 

島豆腐でできている「ルクジュー」

 

城間 そうですね。あと、道具に関しても自分たちで作っているものがほとんどです。

 

このルクジューは島豆腐で作られているんですが、冬の寒い時期に1年分のルクジューに必要な島豆腐を切り、3ヶ月乾燥させます。筆も女性の長い髪を利用し、自分たちで使いやすいように作っていきます。

 

本当に昔から変わらない。色々試してみましたが、この道具たちが一番使いやすいんですよね。

 

挑戦はする。作り方は変えない


 

石井 『城間びんがた』といえば海の柄が印象的なのですが、海をモチーフとした図柄は昔からあるんですか?

 

城間 海をモチーフにした図柄は父の栄順が創作したものです。

 

紅型ってどうしても贅沢品なので、不景気になると買ってもらえず、紅型だけでは食べていけなかったそうで。

 

なので自分たちで魚を捕まえてそれを食料にして、家では紅型を作って…というような生活していて、そこで見た海の綺麗さに影響を受けて図案を作っていったみたいです。

 

ハイビスカスなどの沖縄っぽい図柄がでてきたのは戦後からで、古い紅型には見られないんですよ。

 

石井 そうなんですか!15代・栄順さんの新しい挑戦だったんですね。

 

城間 はい。城間家は色々な挑戦をしてきた家だと思います。

 

父も紅型を高いレベルで残すため、琉服と形の違う着物の世界に挑戦し、着物に似合う図柄や色合いを探していました。

 

僕もその「挑戦」の姿勢は受け継いでいきたいと思っています。

 

石井 着物に紅型を入れる。これも新しい挑戦だったんですね。

 

 

城間 はい。そうです。4年前に代替わりするときに父に『作り方は全く変えるな』と言われました。

 

時代によって人の価値観は変化していくので、色目や柄はその時代に受け入れられるように工夫するんですけど、作り方を変えてしまうと紅型ではなくなってしまうので。

 

例えば、紅型は型を突いて彫るので、直線に見えるものも少し『ゆらぎ』が出るんです。だからハッキリした強い色彩の中でも、紅型特有の柔らかさや暖かさを感じることができる。

 

これを線で掘ってしまうと印象が強すぎてしまうはずです。

 

石井 作り方を変えない理由は、機械化できなかった環境以上に大切な理由があったんですね。紅型、伝統工芸の奥深さを感じます。

 

あと一つ、藍型(エーガタ)は城間びんがた工房だけで作られていると聞いたのですが…。

 

城間 今では、天然発酵で育てるのは、おそらくうちだけかな。

 

天然の藍を育てるのは場所もいるし、藍は生き物なので調子を取るのが本当に難しくて…。

 

良い藍の色が出るように泡盛と水飴をあげて『機嫌』を取るんですけど、それを先代までは職人の直感と経験でやっていたんです。

 

でも私には、どうもこの感覚が受け取りにくくて…。数字で教えてくれよって思ってました(笑)。なので工業試験場などの助けも借りながら、8年かけてレシピを作ったんです。

 

後世に残していくためにも必要な情報かなと思って。

 

 

石井 昔は感覚で、今はデータで。引き継ぎ方も変化しているんですね。

 

城間 はい。作り方を変えないためにも、僕が通訳になって正しい作り方をきちんと残していきたいと思っています。

 

紅型を新しいステージへ


 

JTAヘッドレストカバーの型

 

石井 今回JTAのヘッドレストを作っていただき、ありがとうございました。

 

この依頼を受けた時どう思われましたか?

 

城間 紅型を沢山の人に見てもらえる機会をいただき、とてもありがたいと思っています。

今までの紅型作品は、着物が好きな人など一部の興味のある人しか知らないものだと思うんです。

 

しかし今回、JTAの飛行機のヘッドレストカバーとして使っていただく事で、沢山の人に楽しんでいただける事は本当にいい機会だなと。

 

また、とても大事に丁寧に、紅型をヘッドレストとして制作していただきました。声をかけていただいて感謝しています。

 

石井 そう言ってもらえて私たちも嬉しいです。

 

より多くの人たちがこのヘッドレストカバーをきっかけに本当の紅型を知り、興味を持ってもらえたら良いですね。

 

 

城間 本当にそう思います。このヘッドレストカバーだけで終わらず、今後はより積極的に、多くの人の目に触れるような事をしていきたいですね。

 

そうすることで全く違う世界、業界の若い人から意見をもらうことができるかもしれない。それがまた刺激になると思ってます。

 

これまでは大事にされすぎて、変わってこれなかった紅型でした。しかしこれからは、少しずつ時代に合うようにアップデートしていくことが、自分たちの軸を守っていく事にもなるんじゃないかと。

 

そして最終的には、琉球の文化の深さを知ってもらい、その仕事ぶりに惚れてもらえたらと思っています。

 

 

 

沖縄をもっと知ってもらうために


 

 

城間さんのお話を聞いた後は、紅型の色付け体験をさせていただきました。

 

でき上がりのイメージが想像できず、隈取りの作業が難しいと話しながらも終始笑顔で楽しむ石井。

 

紅型についてお話を聞いた後の体験は感じることも多く、とても貴重で楽しい時間の様子でした。

 

 

美しい自然・伝統芸能や工芸・文化…沖縄には多くの誇るべきものがあります。

 

JTAはそれをより沢山の人達に知ってもらうお手伝いができたらと思っています。

そしてこれからも沖縄と一緒に成長し、沖縄に貢献していきます。

 

2020年1月1日にスタートした紅型ヘッドレストカバープロジェクトJTA機内でみなさん是非お楽しみください!

 

 

【2020年1月1日~2020年4月30日までの間、JTA機内でお楽しみいただけます】

 

 

 

【城間びんがた工房】

 

 

紅型三宗家の一つであり、300年以上の歴史がある

海をモチーフにした図柄が有名

天然発酵の琉球藍による「藍型(いぇーがた)」を現在も行っている。

https://www.facebook.com/shiromabingata/

 

 

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