MENU

JTAの活動 JTA JOURNAL想いをつなげる

  • HOME
  • JTAの活動
  • JTA JOURNAL

「森と水を守る"木のストロー"」って?

2019年10月1日からJTA那覇⇒福岡の路線(クラスJのお客さま対象)で機内サービスを開始した「木のストロー」。

 

このプロジェクトにかかわった、価値創造推進部の神山、下田、沖縄県森林管理課の古井さん、木のストローを開発したスマパノの興津さん4人による座談会が開催されました。SDGs達成への新たな取り組みの一つとして機内サービスに至るまで、また今後の展望など、熱い想いを語り合いました。その様子をご紹介します。

 

 

左からJTA神山、沖縄県森林管理課古井さん、スマパノ興津さん、JTA下田

 

 

 

 

 

木のストローのお客さまの反応


 

下田

まずこの施策を開始した理由は、世間の脱プラ・廃プラの流れの中で単なる脱プラではなく、「木のストロー」が森を守り水を守っている、ということを知り、ご搭乗のお客さまにその取り組みを広めたかったからです。また、興津さんから2020年には沖縄の木を使ったストローを開発予定と伺い、私たちの目指している「沖縄への貢献」にも繋がると確信したからなんです。

 

神山

脱プラ・廃プラだけを考えれば必要以上のコストをかけてまで「木のストロー」を導入する必要はなかった。だからこそ、実際にサービスを行う客室部門とも綿密な打ち合わせがあったよね。

 

 

 

下田

そうなんです。お客さまにお渡しすること、が目的ではなく、木のストローが森と水を守ることにつながっていること、JTAとしてそれを広く社会に伝える役割を担いたいこと、を伝えるにはまずCAに対してそれを理解してもらう事から始めました。

 

興津

結構お客さまの反応がいいみたいですね。

 

下田

私たちも想像以上でした!お客さまは「すごいね、こういう取り組みもやってるんだね」「森や水を守ることに繋がるとは知らなかった」、また外国籍のお客さまには「アメイジング!」ととても感動して頂いたりして、皆様に賛同していただけていると肌で感じています。

 

神山

木を切ることが、森林保全に繋がることって実は、一般の人になかなか伝わっていない。

「紙でも木でも、木を切ってるんでしょ。木を切ることがなぜ、森林保全に繋がるのか?逆ではないか?」という声もあります。だから、伝えていく必要があります。

 

 

 

 

興津

例えばプラスチックを紙に変えればOKだとか、木は切ってはいけないとか、正解が一つだと思われているんですよ。実際は課題設定から含めてケースバイケースで何が正解なのかを常に模索していく話だと思います。本質的に、なぜプラスチックはダメなのかとか、紙に変えればなぜいいのかと踏み込んで考えていない人が割と多い気がします。

 

神山

地域とか、環境とか、時代によって状況は変わってくるんですよね。

 

興津

現時点では、私は日本においては、木は切った方がいいと思っています。

でも、それがこの先もずっとそうか?と言うと、また変わるかもしれないとも思っています。

 

 

沖縄の林業の課題


 

神山

実際、沖縄の林業って今どういう状況なんでしょうか。

 

 

 

 

古井

ほとんどが小規模零細事業者です。沖縄にはスギやヒノキがないので、本土で言う林業とは少し異なりますね。

 

自然環境への配慮から、まず木を多く切れない。切ったところで、その材が特殊すぎるんです。スギ、ヒノキならすぐに乾燥できるんですけど、沖縄の広葉樹とかは2年くらい乾燥しないと使えなかったりするんです。ですので、手元に届くところにはかなり値段が高くなってしまいます。

 

そういうこともあり、沖縄の木や林業が、なかなか認知されにくく、沖縄県の課題でもあると思っています。一方で、沖縄の木には多くの魅力もあります。私の持っているこの名刺入れは、リュウキュウマツでできているんですよ。木目がきれいに出るのが特徴的なんです。

 

 

 

 

このリュウキュウマツ以外にも、広葉樹もイジュとかアカギという、きれいな赤色が出る材があり、本土では目につくことがないので、皆さんとても興味を持たれます。「どこで手に入るんですか」と聞かれことも多々あります。

 

消費者のニーズを把握しブランディングの構築に役立てられないか?と考え、沖縄の木の認知度向上のための取り組みを強化しています。その一環として、スマパノ社の興津さんと沖縄県産の木材を利用しての木のストロー開発の話しを進めているところです。それを更に広く社会の皆様に浸透できるように、スマパノ社さんとJTAさんの取り組みは本当に素晴らしく思っています。

 

 

 

JTAの木のストローと沖縄県農林水産部 森林管理課が発行している情報誌

 

興津

本土だと「木」となるとほぼ「スギ」や「ヒノキ」になりますが、沖縄は、多種多様なので魅力的でもある反面、認知度という意味ではこれからだと思っています。

今だったら「イジュ」が入るよとか。「センダン」が入るよとか今旬なものを使う。そこが「粋」だと思うんです。そのような沖縄の木のブランディングは本当に楽しみです。

 

古井

木工職人の方と一緒に集まって、県内でPRするような「ウッディフェア」などのイベントも開催しています。沖縄県の木工作家と、県産木材の地産地消を応援するサイト「おきなわの木」でも情報を発進しています。

 

 

 

木を切ることが森林保全に繋がる?


 

興津

日本の場合は、そもそも昔から人が適度に森林を切っていたんです。ある程度、人が切ってあげることで、自然が強化されるんです。そこに新たな生物が生まれて、昆虫とか鳥がきて、植物が生えて、それによって、豊かになった。

それが今日本では過度に木を使わないことで多様性がなくなってきています。この話は、生物多様性の学者さんから聞いた話なんですが、木を切る価値としては生物多様性のためでもあるんです。日本人は古くから自然の恩恵を受けながら、自然の近くで自然と共生してきた。

 

 

県の方や、もともと林業に携わってる方達は、元々ご存知なんですけども、そうでない方には、なかなか浸透していない。今だからこそ「持続可能な」というSDGs の観点からすると、自然を守るには実は人間もかなり役に立ってる。自然と関わり方は、過去に学ぶこともできます。

 

神山

人と自然の関わり、人も自然の一部であるということを考えると、当時のバランスのとれたそういう時代というのが、多様性を生んでいたということなんですね。

 

興津

JTA さんが始めたこの木のストローの機内サービスなど、一企業だけの取り組みではなく、パートナーシップを通じた企業活動ともリンクしていくことで社会への浸透は計り知れない効果があると思っています。

 

 

JTAとしての今後の取組み


 

神山

林業の活性化にJTAがどのように貢献できるのかを考えていくことも大切ですが、林業の先には「地域への貢献」という目的があります。

JTAとしては、航空事業を通じて地域貢献をしている方々や取り組みを紹介し、情報を発信していくという役目を担い、さらにはその取り組みをリードできる存在でありたいとも考えています。

今後も様々な取り組みを展開していく中において、地元沖縄の課題解決のために、地域の皆さまと手を携えながら活動してまいります。

 

沖縄県森林管理課の古井さん、スマパノの興津さん、今日はありがとうございました!

 

 

 

参考:水と森と木のストロー:次世代のために持続可能な社会のために水と森の問題について。

 

https://forest.creco-lab.co.jp/

 

ON/OFF

ページトップ